大きな傘

  昨夜から雨予報だったので、室内遊びを予定していたが、朝おやつを食べ終わった頃には、降っているかいないか分からないくらいの小雨。

 このくらいなら、園庭に出てみるのも面白そうだと考えた保育者は、雨雲レーダーと睨めっこ。出た途端に本降りの雨になったら大変だ。データ上では、降っても小雨くらいで済みそうだ。雨宿りができるように、大きなレジャーシートを用意して、園庭に出ることにした。

 テラスで、「雨が降ってきたらこのシートを広げて大きな傘にしようね。」と伝えると、「やってみたい!」と声が。そこで、一度広げてその下に入ってみた子どもたち。なんだか面白いと感じたのか、笑顔でシートを見上げたり、笑い合う姿があった。子どもたちのワクワク感が伝わってきた。

 「今日は、園庭に大きな水溜りができているから、気をつけて行こうね。雨が好きな虫もいるかもね。」と声をかけながら歩いていくと、スロープ脇の草木には、雨粒がたくさんついていた。保育者が、何気なく指先でちょんと触ると、枝がビヨヨンと揺れて、雨粒が飛び跳ねた。その様子に、数人が真似をして、実際に自分でも枝を揺らしていた。面白いと思ったことは、自分でもやってみたいとすぐに行動に移す。 

 先に降りて行った数人が、園庭の入り口スロープの一番下で立ち止まっている。足元には、水溜りがあった。どうやって園庭に出ようか考えているようだった。

 「わあ!大きな水溜りができてるね。どうやって園庭に行こうか?」と声をかけると、「こうやっていけばいいよ」と、端の方にかろうじて水が溜まっていない地面の上を慎重に回りながら出て行った仁十くん。「こっちから行けるよ」と欅砦側のデッキに登ったハールちゃん。友だちの姿を見てから、真似をして同じ道をいくかと思いきや、真っ直ぐに水溜りの中に突入した鷹次くん。

 それぞれが自分で考えた経路で園庭に出て行ったが、圧倒的に多かったのは、真っ直ぐに水溜りに入る経路。あっという間に水溜りの中に何人も入っている状態となった。

 水溜りの中で足踏みをすると、ピチャッ!ピチャッ!という音とともに水飛沫が上がる。音や水が飛び跳ねる様子が面白いのだろう。足踏みをする子たちは、一様に自分の足元を見つめていた。

 あっという間に、綺麗に澄んだ水溜りはチョコレート色に変化していた。もしかしたら、色が変わっていく様子を面白いと感じていたのかもしれない。

 滑り台下の大きな水溜りで、保育者と一緒に葉っぱの船を浮かべてみたり、シャベルを持ってきて水の中をかき混ぜてみたり、鉄棒にぶら下がったり、どんぐり砦に登ったり…だんだんと園庭のあちこちに散らばり、好きな遊びを始めた頃に、ポツッポツッと大きめの雨粒が!

 急いでレジャーシートを広げ、「みんな、雨が降ってきたから入って〜!」と呼び掛けると、シートの下に集まってきた子どもたち。なんだか嬉しそうにじっと立っていたり、笑い合っていたので、一緒に入ってみると、雨音がポツポツ響いている。「雨の音がするね」という保育者の声に、シートを見上げる子どもたちだった。雨音でも、いろいろな響き方がある。子どもたちと一緒に、いろいろな素材の音を集めてみるのも面白そうだなと感じた。

 大きな傘に入ったまま移動し、欅砦の下で遊んでいたが、雨は弱まりそうにない。また、大きな傘に入り玄関付近へ。ちょうど、ゴミ収集車が入ってくるのが見えて、そのまま見学することに。

 大きな傘を持つ保育者二人は腕が痛くなってきたが、柵の間から、ごみ収集の様子を見ようと、体を左右に動かしてちょうどいい場所を見つけると、じっと見守っていた。なぜこんなにもゴミ収集車は人気なのだろう。動き出した車に「バイバイ!」と声をかけながら見送ってから、大きな傘とともに、早めに保育室に戻った。

 今後も、小雨くらいなら、大きな傘とともに戸外に出てみよう。新たな発見がありそうだ。

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