同じ場所へ

 朝から気持ちの良い青空が広がり、2グループ散歩と園庭とに分かれて過ごした。

 「今日は晴れたから、お散歩に行けるね!」「パンダ公園に行くんだよ!」という声が聞かれた。園周辺を散歩した子たちに、「昨日、石のお山に登ったでしょ?大塩先生も行きたかったなって言ってたから、今日お山の場所を教えてあげようか」と声をかけてみた。

 今日は、子育て広場で新緑フェスタが開かれるとのこと。地域の方がたくさん集まるので、前を通り、雰囲気を感じられたらと考えていた。その斜め前に位置する石の斜面が『石のお山』だったのだ。

 保育者の思惑もあったが、前日と同じ場所への散歩で、子どもたちのどんな姿が見られるかという興味もあった。そんな気持ちには気づいていないはずだが、「いいよ!」「大塩先生に教えてあげる!」と、乗り気になった子どもたちと出発した。

 門を出てすぐに、花にとまっている蝶を発見し、「朝ごはんを食べているのかな?」と見つめたり、車で出勤した保育者が、車を停める様子に釘付けになる子等、それぞれが気になるものに夢中になっていた。

 時間はたっぷりあるので、子どもたちが満足するまで待つことにした。反対側の歩道に、一足先にパンダ公園に向けて出発していたグループの姿が見え、お互いにガードレールにくっついたり、身を乗り出して「おーい!」と手を振り合う。同じクラスの友だちに会うと、大人も子どもも嬉しくなる。

 何かを伝えようとしているようだが、みんなの声が大きくて、よく聞こえない。何度が聞き返し、「お巡りさんに会ったよ!」という言葉が聞き取れた。「みんなもお巡りさんに会えるかもれないね。行ってみよう!」「じゃあね!また後でね!」と手を振り合い、再出発した。

 宅配のトラックが、ちょうど横に停まると、またまた立ち止まりじっと観察。荷物を持って降りてきたお兄さんの動きを目で追う子やトラックのタイヤや部品を観察する子もいた。

 「なんだ?」と呟きながら観察する子の横に並んで、しゃがんでみると、タイヤがとても大きく感じたり、普段は気づかない下部の部品が見えた。「なんだろうね」と応えながら、子どもたちと同じ目線になってみることは大事だなと感じる保育者だった。

 花や蟻、ダンゴムシ等を見つけながら進み、園舎裏の水路へ。ここからは、昨日と同じ経路だ。足取りも軽く進んでいくと、コーヒーのいい香りが漂い、旗が立ち、なんだか音楽も聞こえてくる。

 保育者と一緒に近寄っていくと、キーボード演奏していたご婦人が、トトロの曲を弾き始めた。きっと子どもたちの姿を見て、選曲してくれたのだろう。

 動かず、じっと見つめる子どもたちの表情に、どんなふうに感じていたのか頭の中を覗いてみたいと思った。大人の数や雰囲気に圧倒されたのだろう、一人も「おはよう!」や「バイバイ!」と声を出す子がいなかったが、そこに集っていた大人たちからは、笑顔が向けられていた。

 普段子ども達と関わることのない地域の大人の人たちにとっても、子どもたちにとっても、自由に交流ができる日が戻るといいのにと感じながら、「行ってきます!」と先へ進んだ。

  石の斜面を見つけると、すぐに登り始めた子どもたちは、昨日よりも、登る速度が増していたように思う。一緒に登り始めた保育者に、「大丈夫?」と声をかけてくれる余裕のある子もいた。登り終わると向きを変えて座り、一休み。そして、迷わず右へ移動し始めた。

 これも、昨日と同じ。一足先に階段に出た子から「冷たくないね」という声が聞こえた。マンホールに指を伸ばしている。一瞬なんのことかと思ったが、昨日、雨が溜まっていた場所を触って出た言葉だった。確かに、昨日は雨が溜まり、冷たいことを触って確認していた。

 その後も、昨日と同じ経路を進む中で、「音がするね」(排水溝)「ヘビあるかな?」(へびいちご)と、昨日経験したことを覚えていて、期待したり、確認する様子が多く見られ、緑山公園では、昨日同様『へびいちご狩り』が繰り広げられた。    

 繰り返し同じ場所に行くことで、遊びが深まっていく。

 一人一人の口から、いろいろな言葉が聞こえてきた。「面白い!」「楽しい!」等々。子どもが発した言葉に寄り添い、気持ちを共有することを大切にしたいと思う。今後も定期的に行くことで、どんな変化が見られるか楽しみだ。

 パンダ公園に向かったグループは、念願の公園で思い切り体を動かし、園庭で遊んだ子も個々のペースで過ごした。

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