カメムシ

 今日は久しぶりの晴天だったので、内裏谷戸公園に散歩に出掛けた。

 公園で遊び始めてすぐに、尚くんと直也くんが慌てた様子で保育者に駆け寄ってきた。

 尚「先生。先生。大変だ。ちょっと来て!」

 保育者「どうしたの?」

 尚「カ、カメムシがいたんだ。」

 子どもたちにとってカメムシは身近な悪者だ。動きがゆっくりで、すぐに飛ぶわけでもなく、程よい大きさで見つけやすいが、捕まえようとすると臭い液を出す。園庭でもよく見かけるが、子どもたちが見つけると「大変だ。カメムシだ。やっつけろ。」と騒ぎになる。そんなカメムシが遊具にいたらしい。しかし、保育者が遊具に到着する頃にはすでにいなくなっていた。

 尚「ええ。さっきまでいたのに。これはどっかに隠れてるな。」

 直也「隠れてるね。」

 2人はカメムシが隠れていそうな所を探すが見つからない。

 尚「直也くん。ちょっとピョンピョンしてみて。僕、下で待ってるから。」

 遊具の二階部分にカメムシがいたので、二階部分に衝撃を与えれば下に落ちてくるかもしれないと思ったのだろう。しかし、それでも見つからない。

 尚「さっき、ブーンって聞こえたから飛んでったのかもしれない。」

 直也「食べられちゃったのかも。」

 尚「そうか。あ、ご飯を食べに行っちゃったのかもしれないな。」

 直也「おうち帰っちゃったのかな。」

 尚「遊びに行ったのかもしれない。」

 直也「誰と?」

 尚「友だちと。」

 直也「うえー。友だち?」

 尚「そうだよ。パパとママもいるよ。」

 直也「おもちゃで遊んでる?」

 尚「ズコ!カメムシは虫だからおもちゃ使わないでしょうが!」

 直也「じゃあ、友だちと遊んでる?」

 尚「そうそう。」

 明希「いやいや。虫に友だちはいないでしょ。」

 尚「…そうだよ。」

 直也「いないよね。」

 尚「やっぱりお家に帰ったんだと思うな。」

 カメムシを探していたはずが、いつの間にかカメムシの日常を想像した話になっていた。「虫はおもちゃは使わない」ということは理解していても、「家族がいて、友だちと遊んでいる」と思っている。しかし、お兄さんに「虫に友だちはいない」と言われ、「よく考えればそうかも。」と思う。現実的な考えと、想像的な考えを行ったり来たりしながらも、その中で、なんとか答えを見つけようと考えていく2人の姿があった。

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