モデルにしたり、モデルになったり

 一昨日の朝は、園庭に出ると「砦を開けて」と言われたが、今日は「ブランコ開けて」と頼まれた。

 保護者の方もご存知の通り、せいびの園庭にブランコはない。
 だから乳児の頃は、鉄棒に縄跳びをくくり付け、バスマットを座面にして作る手製の『ブランコ』が子どもたちのブランコだったのだが、今日「開けて」と言われたブランコは、テラスの片隅にあるハンモックのことだった。

 そのハンモックは、子どもたちが乳児の頃からそこにあった。でも、『これで遊びたい』と言われたのは初めてだった。
 進級し、かぜグループの子どもたちの存在がぐっと身近になったからこそ、年上の子の遊んでいる姿に関心を抱いたり、その姿を目で追うことが増え、ハンモックの存在にも気が付いたのかもしれない。

 「ブランコ開けて」と言った空璃ちゃんは、ハンモックに乗るとすぐに両手で布地を掴み、包み込まれるように布の中に消えていった。そして、ゆったりと揺られながら「まだ眠いから寝てるの〜」と、姿は見えないが、声で実況中継をしてくれた。

 なるほど、これは、まだ登園直後のゆったりしたい気分の時にぴったりの遊びだ。空璃ちゃんは、自分の好きな遊びや、心地の良い場所を見つけている。

 朝から良い天気だったのは、久しぶりな気がする。
 今日の朝の会は、アトリエ前の階段を椅子にして、青空の下で行なった。そして、「今日は皆で、園庭でいっぱい遊ぼう」と伝えた。

 「まーくんはお散歩に行こうかな?」と言った政尋くんは、ちょうど隣で「あ、うみさんの野菜にお水あげなきゃ!」と言って水道に走り出した彩奈ちゃんを見て、同じく水道へ向かって行った。でも、水を汲んだ後は、うみぐみの野菜のプランターの前を通り過ぎて行く。「どこ行くの?」と付いて来た保育者に「後ろ、行っても良い?」と聞いた。

 『後ろ』とは、裏庭のことだとすぐに分かった。実は、昨日の園庭遊び中に、かぜグループの畑がアトリエの『後ろ』にあることを知ったのだ。

 政尋くんの姿に興味を抱いた子どもたちもつられて、普段は足を踏み入れない裏庭へ行き、パプリカやスイカが植わっているという発見を共有した。それから政尋くんは、2粒だけ実をつけているイチゴにだけ水をあげ、戻って行った。(うみぐみの野菜たちも、葉だけではなく実が付くと、子どもたちの愛着心がぐんと高まりそうな気がした。)

 その後も、「トカゲ探したい」という子どもたちによって、園庭だけでなく裏庭もがうみぐみの遊び場となった。
 トカゲ探しは、昨夕にかぜグループの男の子たちが裏庭で行なっていた遊びだ。

 うみぐみの子どもたちは、かぜグループの子どもたちの姿を時にモデルにしながら、遊びの種類や活動範囲を広げている。そして、時に乳児さんのモデルとなっている。

前の記事

影を作る

次の記事

カメムシ