ぶつかり合うけど遊びたい

 帽子を被った子どもたちが駆け足でテラスへやってくる。そのままテラスにあるベンチに登り、四つん這いになって渡り始めた。「ダンゴムシ〜」と歌うように呟きながらベンチの上を小さくなってモソモソと進んでいく。

 今朝も飼育しているダンゴムシにエサをあげ、迷路に入れて観察していたのだ。さっきまで見入っていたダンゴムシに、すっかりなりきっている子どもたち。そんな友だちの姿を見て、ダンゴムシになりきっている子が列を作っている。ダンゴムシの人気には驚かされる。

 テラスを降りて園庭へ出る途中でも、いつもダンゴムシがいる場所でしゃがみこみ、枝やシャベルで落ち葉をどかしながらダンゴムシを探している。どんな場所にいるのか、どうやって探すのか、保育者を頼らずに自分たちで次々と行動していく姿に感心していると、「この葉っぱ、ダンゴムシ食べるんだよ」と絢士くんの声。

 以前飼育ケースに入れて、ダンゴムシが食べていたことを覚えていたのだ。友だちにも「この葉っぱだよ」と伝え、数人でダンゴムシの好きな葉っぱを飼育ケースに入れた。

 ダンゴムシへの興味は観察から始まり、世話をすることやなりきってみることなど、様々な遊びへと変化している。子どもたちの関心事をしっかりと受け止めていきたいと思った。

 ふと横を見ると「うーん、うーん」と詩くんの声。リヤカーを出したくて必死で引っ張っている。「手伝おうか?」と声をかけ、リヤカーを出すと、一葵くんもやってきた。そして二人とも無言のままで、リヤカー取り合いが始まった。

 相手を押したり叩いたり、腕を引っ張ったりと、必死にリヤカーは自分のものだと主張している。まさに、2歳児の自我のぶつかり合いだ。

 どうなるのかと保育者が見守っていると、自分たちで解決できるわけはなく、「ヤー!」「ダメー!」とどんどんエスカレートしてきたので、保育者が声をかけることにした。

 「このリヤカーは誰が持っていたの?」と聞いてみると二人とも詩くんを指差し、言葉でも「詩くん」と伝えることができた。「じゃあ、一緒にやりたいっていってみたら?」という保育者の言葉に、素直に「一緒にやりたい」と訴える一葵くん。すると、「いーよー」とすんなり答える詩くん。

 さっきまでの取り合いはなんだったのかと拍子抜けしてしまう。それなら最初から二人で使えば良かったのに、とつい大人は思ってしまうが、こうしてぶつかり合いながら、自分の思いを主張したり、相手の思いを知ったりしていくのだろう。

 ようやく一緒に遊ぶと決まったところで、今度は奏介くんがやってきた。また、同じように取り合いが始まる。自分のやりたいことを主張して、ぶつかり合うのだ。保育者がお互いの気持ちを伝えるうちに、すぐに納得して一緒に遊び始める。次々と違う子がやってきては、座る場所の取り合いや運転するしないで、ぶつかり合う。

 自分のやりたいことはあるが、友だちと遊びたい気持ちもあるのだ。一緒に遊ぶためには自分の思いばかり言っていては、遊ぶことはできない。そんなことを、理屈ではなく、体験していくはなぐみの子どもたちだった。

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