イメージの広がり、そして共有

 うみぐみ用にもらった虫カゴに海の絵を貼ってから、散歩先に虫カゴを持って行くことが習慣化している。
 虫への関心が高まったタイミングでの虫カゴの登場。そして、文字ではなく絵で『自分たちのもの』と理解することが出来るようになり、虫カゴへの愛着も高まっているのだろうか。

 今日は、景護くんと楓真くんが虫カゴを持ち、キノコ公園を目指した。

 キノコ公園に着き、バッタを求めて芝生の中を探したが、一匹も見つからない。
 代わりに、楓真くんは「見て!」と言い、砂場の中にたくましく生える雑草を見つけた。砂漠の中に咲く花のようで、何とも特別感のする雑草だった。

 歩也くんは、砂場の中で見つけた砂の塊を見せてくれた。そして、その塊を石のテーブルの上で擦ると、ほろほろと崩れていく心地良い感覚がすることも教えてくれた。
 保育者が歩也くんに「何だか気持ちが良い感じがするね!」と感動を伝えていると、蒼太くんもその塊をいくつも探し出しては、大事そうに腕に抱えていた。

 キノコ公園には、砂場と遊具の他に、井戸汲み場のようなものがある。保育者が「お風呂、ありますよー」の声に誘われて行くと、そこでは景護くんが、水の出口に木の枝を差し込みながら、「今、火をやってますから、ちょっと待ってくださいねー」と言っていた。
 五右衛門風呂のイメージなのか…そもそも景護くんは五右衛門風呂を知っているのか…と保育者に疑問が湧いている間も、お風呂のイメージは他の子に広がっていき、井戸汲み場は賑わっていった。

 歩也くんと蒼太くんは、先程集めた砂の塊を「石鹸でーす」と言いながら保育者の腕で擦り、保育者の腕を洗ってくれた。
 少しすると政尋くんは、「火事です!ゴォーーーーー!!」と言いながら、慌てふためく保育者の姿を見て笑い転げていた。

 井戸汲み場がお風呂場、砂の塊が石鹸、五右衛門風呂から火事へ…。一人ひとりのイメージは広がりながら、他者のイメージと合わさって、さらにまた広がっていく。
 他者のイメージと合わさってまた広がる、そこが3歳児なのかもしれない。

 帰り道では、雅工くんが「お豆見つけたから、佐藤先生に言おう!」と言った。
 保育者は初め、角田先生の間違いかと思ったが、『お給食の佐藤先生』なのだとはっとした。一昨日、ゼリー作りをしてくれた佐藤先生の存在がぐっと近付き、『食材はお給食の先生へ』という思いが湧いたのかもしれない。

 また、公園では出番のなかった虫カゴだったが、帰りのトンネルの中で飛べなくなっているトンボを見つけた。正直、保育者は弱っている虫を持ち帰ることを迷ったが、カゴの中に入れて大事に持って帰って来た楓真くんに「これから先生たちは給食で、虫カゴの中は暑くなっちゃうから、トンボもお外に逃がしてあげない?」と提案すると、「良いよ。ここが良いんじゃない?」と、楓真くんは園庭の端の、葉と花のある場所を選んだ。
 トンネルの中では飛べずにいたトンボ。でも、蓋を開け、楓真くんが虫かごを花に近付けていると、しばらくしてから、なんと元気に飛び立っていった。

 子どもたちの成長も、5月の陽気の心地良さも感じられた散歩の、最高の締めくくりであった。

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