初めての「おにぎり」

 今日は待ちに待ったおにぎりの日。朝からおにぎりが気になる様子。これからの流れを子どもたちに話をするために集まろうと声をかけていると、「もうおにぎり食べる?」と気もちもはやる。

 おにぎりの日にちなんで、「おむすびころりん」の紙芝居を楽しんだ後、2グループに分かれ散歩に出かける。本来ならおにぎりの入ったリュックを背負って、ワクワクしながら出発するところなのだが、コロナ禍の公園ではまだ食事を避けけておこうと、リュックは置いていく。

 せっかくのおにぎりの日なのに残念だな…と保育者は思うが、子どもたちはさほど気に留める様子はない。それは、おにぎりを楽しみにしていないわけでも、忘れているわけでもない。おにぎりの日を今日初めて体験する子どもたちにとって、今この時に経験していることこそが「おにぎりの日」なのだ。

 散歩中も探索や公園での遊びを楽しみながらも、「こっちの道(遠回り)、回っていく?」と聞くと、「おにぎりの時間に遅れちゃうよ〜。」や、「今何時?もう帰る?」、「帰ったら、おにぎり?」など、話のあちこちにおにぎりを食べることを期待している気持ちが伝わってきた。

 公園から帰る時に「そろそろ帰ろうか。帰っておにぎり食べようか。」と声をかけた時にも、いつもは「もっと遊びたい」や「あと1回やったら。」などの声が上がることが多いが、全員がパッと集まっていた。今日ばかりは、帰り道は足が重くなったり、園の玄関前でしゃがみ込む姿もなく、さっさと手洗いを済ませ、ここでようやくリュックを背負って、園庭に向かっていた。

 おにぎりを頬張りながら、「おにぎり最高!」「お庭で食べるの楽しいね!」「見て、ドラえもん付いているよ。」「プリンセス一緒だね!」と、気持ちよく晴れた空の下、おうちの人が作ってくれたおにぎりを、みんなで食べる。嬉しいし、美味しいし、楽しい!が子どもたちの笑顔から溢れていた。

 大人は過去の経験と比べて、勝手に、残念だとか、かわいそうだとかと考えがちだが、それは余計なお世話なのかもしれない。子どもたちは今できる経験を通して、楽しいことや嬉しいことなどを最大限に味わっている。

 それでいいのではないか…その気持ちを大事にしたいと思う保育者であった。

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