「しろがみ」と「恐竜の骨」

 最近のしろぐみの様子で気になっていたことがある。それは、とりの子どもたちの様子。朝の会をしていても、「つまんない」「やりたくない」「やめたい」というのはとり。散歩で集団から外れて最後尾にいるのも、最初に疲れてしまうのもとり。集団で遊んでいるのはあおぞらで、とりはそれぞれが別に遊んでいる。もちろん、いつもという訳ではないのだが、なぜか気になってしまう。

 これは子どもたちが悪いという話ではない。先日の「つやや病」でも書いたが、子どもの行動には必ず理由がある。このことにも必ず理由があるはずだ。

 それでは、その理由は何か。保育者は色々と考えて、年長となったここからは、さらに多様で意味深い経験が必要なのではないかという仮説を立てた。集団で遊ぶ楽しさ、夢中になる経験、自分のアイデアが形になっていく経験、リーダーシップを取る経験、頼られる経験など、様々な新しい経験が、もっと刺激的な毎日を作り出すのかもしれない。

 この見立て確かなものにしていくため、昨日の夕方の時間にとりを集め、「これから、とりには色々なことを頼んだり、一緒に考えてもらうことが増えると思う。」と語りかけた。そして、「その時に、『しろぐみのとりさんたち』と呼ぶのは大変だからチームの名前を考えないか」と提案をしてみた。名前が決まると、自然と仲間意識が高まるはずだ。

 そこはさすがに年長。しろぐみのとりとして、白や鳥から連想した言葉が次々と出てくる。
 「雲!」「白い鳥…ニワトリだ。」「白鳥でしょ。」「アヒルもいるよ。」「ソフトクリームなんかは?」次々にアイデア出るのだが、なかなか一つに絞り込めない。少し煮詰まってきた状況に気付いた保育者は「ジャンケンで勝った人が決めるのはどう?」と助け舟を出した。ジャンケンの結果、実蒼ちゃんが勝ち、チーム名は「しろがみ(白紙)チーム」に決まった。

 みんな、このチーム名を気に入ったようで、特に柚希ちゃんはチーム名が決まったことで張り切っていた。

 柚希「先生さ、やっぱチームにはリーダーが必要だと思うんだよね。」

 保育者「そうかも。明日みんなに聞いてみようか。」

 柚希「あとさ、キャラクターもいるよね。」

 保育者「それもいいね。(マスコットのことか?)」

 そして今日、出勤してきた保育者は、しろぐみのとりの子どもたちに囲まれた。特に用もないのに、挨拶したり、触ったり、服をひっぱったりしてくる。これは「うちらチームなんだよね」という子どもたちからの確認のサインのように思えた。

 朝の会を終え、「しろがみ」を招集すると、今までにない早さで集まってきたとり。柚希ちゃんのリーダーを決める提案は満場一致で受け入れられたのだが、ここで事件が起きた。しろぐみリーダーを自認する柚希ちゃんは、当然今回も自分がリーダーをやるものだと思っていたらしい。しかし、明希くんと玲音くんが、「リーダーをやりたい」と手を挙げたのだ。そして、ここからどうやってリーダーを決めるかの長い話し合いが始まった。

 ジャンケン、あみだくじ、話し合いなどの意見が出るが決まらない。このまま決まらないで終わるのかと思った矢先、実蒼ちゃんがルーレットを見つけた。

 実蒼「ルーレット使うっていうのは?」

 子どもたち「それだ!!」

 どれだけの子がそれに納得していたのかは分からないが、もしかすると、「もうそれでいいよ」という消極的な賛同者もあったのかもしれない。しかし、いずれにせよ、子どもたちで決めたこと。前日のように介入しようかと迷ったのだが、やはり最後まで我慢してよかったなと思う。決まっても決まらなくても、失敗しても成功しても、こういった経験を積み重ねること自体がチームを作った目的だからだ。

 そして、ルーレットの結果、リーダーは中村 明希くんに決まった。「しろがみチーム」の動きは始まったばかり。これからどんな経験を積み重ねていくのか楽しみだ。

 ちなみに、あおぞらも集まりチーム名を決めたのだが、決め方は多数決、「恐竜の骨」というチーム名が、わずか3分で決まった。

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