はさみの色が

 今日はペットボトルとカラーセロハンを使って、「ステンドグラス」の製作をする為、朝から準備をしていた。「先生、おはよう!あ、これで何か作るんだね。」「前に作ったやつ?」「(カラーセロハン)綺麗だね。」など、声を掛けてくる。こうやって、少しずつ子どもたちの関心が広がればと思う。

 そして、朝の会。「今日はこれを作ってみたいんだ。」と、作り方がわかりやすいように印刷しておいた写真を見せる。「すご〜い!!作りたい!」との声に、保育者の期待も大きくなる。

 自分たちで必要なものを揃えて作り始める。今回使うのはボンド。「色は白いが乾くと透明になる」という説明をすると、知っている子どももいた。

 すると、三史郎くんが「やらない」と両手を膝の上に置いてじっと周りの様子を見ている。隣に座っていた雪ちゃん、弓乃ちゃんに「え〜。どうして?面白そうだよ。」「さんちゃんも一緒にやろうよ。」と声を掛ける。それでも、「やらない」と答える三史郎くん。

 「やりたくないなら、やらなくてもいいよ。でも、いつでもできるように置いておくね。やりたくなったら作ってね。」と声を掛け、その場を立ち去る。本当にやりたくないならば、きっと別の遊びに移っていくだろう。けれど、その場を動かずにみんなの様子を観察している。

 頃合いを見計い、「さんちゃんもやろうよ。先生と一緒に作る?」「さんちゃん、何色が好きだったかなぁ。」など、声を掛けてみる。「さんちゃん、赤がいいかな?」とカラーセロハンを手にして見せると、首を縦に振る三史郎くん。

 そこからは、一人でどんどんと手を動かしていった。

 →実はとても複雑で繊細。やってみたいけど自信がなかったり、周りの友だちの視線が気になったり、純粋にあまり面白そうに思えないなど、感じていることや思っていることがあるはずだ。そこを、それとなく探りながら、さりげなく支えていくことが大切だ。

 ペットボトルの土台に直接ボンドを塗り、その上にセロハンを貼っていく。その時、奏音くんが「先生!見て!」と声を上げた。

 「はさみの色が緑になった!!」

 青いはさみの柄の上に黄色のカラーセロハンが置いてあった。海翔くんも「俺もそれ気付いてた!」と叫ぶ。

 これまでも、虫眼鏡のように、カラーセロハン越しに色々なものを観察するなどして、遊んできたのだが、こちらの期待をよそに、その時にはまだ、別の色のセロハンを重ねてみたりという遊びには至らなかった。

 そして今日、ついに混色の発見。そこで、改めて、みんなの前でカラーセロハンを重ねて「色が重なると違う色になる」ということを伝えてみた。すると、それは分かっているというような表情の子どもたち。

 はさみの時の驚きとの、このギャップは何なのだろう。やはり、いつも見慣れた、身の回りの物の色が、突然変化するという経験こそが、彼らの本当の驚きなのだ。特別なセロハンという素材の色の変化は、セロハン固有の現象のようで、どこか実感が湧かないものなのかもしれない。

 遊びや生活など、自分の体験を通して、感動と共に心に刻むことが、この幼児期の学び方なのだと、改めて感じた出来事だった。

 また、結希人くんは「これを(ペットボトル)逆さまにすると、付けやすいよ。」と勇樹くんに伝えていた。

 こうして、製作しながらいろいろなことに気付き、会話をしながら、自分の感じたこと、思ったことを交換している。その会話を聞き逃さないようにしないといけないと思う保育者。その感動に共感し、その気づきを次の活動に活かしていきたいからだ。

 明日、乾いたペットボトルに灯りを灯してみようと思う。その時の子どもたちの心の動きが、また次の展開を生んでくれるはず。

 

 

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